病気の説明

耳の病気について

外耳・中耳・内耳の病気

子ども、大人の耳垢

耳がかゆい、汁が出る、つまる

耳痛、耳閉感

かゆい、耳閉感、耳だれ

耳がかゆい、汁が出る

頸部の下方部

急に聞こえない

耳がつまる、こもる

自分の声がひびく・耳がつまる

大きな音を聞いた後の難聴・耳閉感

耳垢(みみあか)耳垢栓塞

概要

  • 耳垢は鼓膜の位置から外に向かって自然に移動してきます。
  • 小さな耳垢は放置しても問題ありません。取ろうとすると逆に溜まりやすくなります。
  • 耳垢は細菌や真菌からの防御の働きがあります。ある程度溜まっても問題無く、掃除をしすぎるのが問題と言えます。

耳垢栓塞

  • 外耳道に耳垢が詰まってしまう状態です。綿棒で耳垢を押し込んでしまい、固まってしまうことが多いようです。
  • 耳閉感、難聴、かゆみ、頭を動かすとカサカサ音がする。
  • 大きくて固くて簡単に取れない場合には耳垢を溶かす薬を点耳して柔らかくしてから除去します。

耳掃除について

  • 耳垢は奥から移動してきて外耳道の入り口から1cm程度の場所にあります。
  • 70~80%の方は乾性(固め)耳垢です。
  • お風呂上がりに乾性の耳垢が柔らかくなりやすいので、清潔な綿棒で、穴から1cm程度をそっと拭き取ります。
  • 月に1回か2回程度で十分です。
  • 子供さんなら、親御さんが見て、見える場所に耳垢があれば、やさしく取ってあげるのが良いでしょう。
  • 子供さんは自宅で掃除中に、動いて(暴れて)外耳道や鼓膜を傷つけることがあります、無理をせずに耳垢が溜まっていれば受診しましょう。
  • 加齢により、自浄作用が衰え耳垢が溜まる傾向にあり、とりにくくなります。かゆみや、耳漏があったり、聞こえが悪くなったら耳垢が詰まってることもあります。無理をせず耳鼻科を受診をおすすめします。

外耳道の湿疹

概要・原因

  • 外耳道の皮膚に湿疹を生じかゆくなり、分泌物でじくじくしたり、乾燥してカサカサします。
  • 毎日耳掃除をしたり、よく耳を触ったりすると、繰り返しやすくなります。
  • 皮膚を掻きすぎて細菌の二次感染が起こると腫れて、痛くなります。

予防・治療

  • 耳の処置、外用薬を使用します。
  • 外耳道を刺激するとかゆみが増します。耳かき・綿棒を頻繁に刺激すると余計かゆくなる、汁が出るなどの悪循環になります。
  • 日頃から、綿棒や耳かきや指での皮膚への刺激を避けることが大切です。

耳掃除しすぎの注意

  • 綿棒、耳かきで耳を触ると気持ちが良いので→耳をいじる → 気持ちよい、痒くなる→またいじる→外耳道の自浄作用を低下させる→液、角化物が増える→耳だれ→かゆみ→耳掃除の悪循環に陥り、難治性になることがあります。

急性外耳道炎

概要・原因

  • 耳かき、綿棒、爪での皮膚の傷や水泳、耳栓、イヤホンなどによる傷への影響がきっかけで、皮膚へ細菌感染がおこります。

症状・治療

  • 耳痛、耳だれ、外耳道が腫れると耳閉感、難聴があります。
  • 耳を引っ張ったり、押したり、顎を動かすと痛みます。寝返りをして耳が下になると痛みが増します。
  • 軽い場合は、耳処置、外耳への外用薬、腫れや症状が強い時は、抗生剤の内服、鎮痛剤を使用します。
外耳道真菌症

概要・原因

  • 外耳道のジクジクや耳漏があり湿っていると、真菌(かび)が生えやすくなります。
  • 耳掃除や外耳道湿疹の繰り返しで、真菌・細菌から皮膚を守る皮膚のバリア機能が弱くなり、常在菌としての真菌の感染が起こりやすくなります。
  • 顕微鏡下に耳鏡で観察すると黒や茶色白などのカビの塊が観察でき診断できます。
  • かびを視診上確認できないときは、培養検査をすることあります。

症状

  • 強いかゆみ、痛み、耳だれ、耳閉感、難聴を起こします。
  • 鼓膜・外耳道皮膚のびらんが見られ、黒色や茶色の耳だれ、外耳の腫れ、出血することもあります。

治療

  • 真菌のかたまりを除去し外耳道の清掃・洗浄・抗真菌剤の塗布を行います。
  • 通院での局所治療が必要となります。

イヤホン難聴(音響性聴器障害 騒音性難聴)

概要・症状

  • イヤホンやヘッドフォンで長時間、大音量で音楽を聞くなど間違った使い方をすると難聴を誘発します。
  • 大きな音の振動により、内耳の有毛細胞が壊れる事が原因です。聴力はゆっくり悪化して、高音域から低下します。
  • 85db以上の音を聞き続けると難聴のリスクが高まります。(地下鉄の車内が80dB前後、犬の吠える声が90dbと言われています。)

経過

  • ヘッドホン、イヤホン難聴では、高音域から少しずつ低下するので難聴を自覚したときには回復は難しくなります。予防が大事です。

予防

  • 周囲が騒がしい環境では、イヤホンとヘッドフォン使用時は音量に気をつけるか避ける。
  • 常に大音量は避ける、ノイズキャンセリング機能があるイヤホンを使う。
  • 1日あたり5時間半以内(少ないほど良い)、また連続して聞かずに、間に休憩を取る。

急性音響外傷

  • ヘッドホンやイヤホンの音量よりも強大音に数分から数時間、暴露されることで難聴を発症することがあります。
  • ライブやコンサートで大音量を聞いた直後から難聴になることがあります。
  • 難聴、耳閉感、耳鳴を自覚します。急性の音響外傷の場合は耳の安静や内服で回復することが多いです。


概要・症状

  • 耳管が開いた状態で、音声と空気が交通するようになり、自分の声がひびく、呼吸音が聞こえる、耳がつまる、こもる、低い音が聞き取りにくいなどの症状を起こします。
  • 頭を下げたり、横になっていると、一時的に症状が和らぎます。

原因・診断 

  • きっかけ、原因として、ダイエット、体重が減ったとき、運動、脱水気味、ホルモンバランスの変化、経口避妊薬、妊娠等々があります。
  • 若年の女性に多く、男女とも高齢になると開放症になりやすい傾向があります。
  • 診察時、顕微鏡下で呼吸と共に鼓膜が動くと診断は確定です。頭を下げて症状が軽快する場合は、開放症が疑われます。多くの場合、診察時には、聴力検査、鼓膜所見など正常です。


治療 

  • 体重減少の場合は、増加を図る、妊娠の場合は様子を見る、脱水の場合は、暑い日の運動を避ける、水分補給を心がける。
  • 漢方薬が有効の場合があります(加味帰脾湯)。生理食塩液を点鼻すると一時的に効果があります。


 症状 

  • ある日、ある時間帯に急に、耳のつまり感、音が響く感じ、耳がぼーとするなどの症状がおこります。軽いめまいがおこることもあります。(片方の耳のことが多いです)

 原因 

  • 女性に多く見られます。病因は不明ですが、内リンパ水腫が想定されています。精神的、肉体的ストレスや睡眠不足、感冒、過労などが誘因になると考えられています。 

 検査 

  • 聴力検査では、低音域3周波数(125.250.500)の難聴を認めます。中音、高音域は聞こえているので、難聴ではなく、多くの方は「つまり感、ひびく感」などを自覚します。

 治療 

  • 比較的聴力が改善に向かいやすい病気です。利尿剤(リンパ水腫を改善するため)やビタミン剤、血液循環改善剤、漢方薬など副作用の少ない薬を処方をします。難治例や難聴の程度が高度の場合は、ステロイド剤を使用する事もあります。   
  • 日常では、規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動(ウオーキングなど)精神的ストレスの回避が大切です。

注意事項

  • 発症してしばらく、日により低音域の聴力が変動する事があります。
  • そのため受診した日に聴力検査で低音域が正常で左右差がなければ確定できず、数度の聴力検査で診断できることもあります。
  • 症状の変動のある方は、症状がある日の受診をおすすめします。
  • 良くなっても、再発することがあります。 メニエール病へ移行する場合もあります。

突発性難聴との違い

  • 突発性難聴もある日急に発症する感音難聴です。最初から難聴を自覚することが多く、治療はステロイドの投与が標準となっています。難聴が治癒する割合は低くなります。難聴の改善、悪化の繰り返しはありません。
  • 軽度な突発性難聴と急性低音障害型感音難聴は診断基準が重なる場合があります。

 症状 

  • ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気です。耳鳴やめまい、吐き気などを伴うことがあります。両耳同時に起こることは、まずありません。

 原因 

循環障害説、ウイルス説などがありますが、原因は不明または不確実なことと定義されています。


 検査 

聴力検査で難聴が認められます。


 治療 

  • 早期の治療が望ましく(2週間以内)それ以上だと治療効果が少なくなります。当院では内服のステロイド、血流改善剤、ビタミン剤等で治療を行います。
  • 高度の場合は入院治療が出来る施設に紹介いたします。治療の効果がなく難聴が治癒しない方が一定の割合おられます。

注意事項

  • ステロイド使用に当たっては、糖尿病の有無やHBs抗原の検査をして、該当の方は、専門医いる病院へ紹介いたします。

概要

  • 中耳腔に滲出液という液体がたまる病気です。耳痛、発熱はありません。3~5歳で頻度が高く、7~8歳で治癒の傾向を示し、10歳までに多くがよくなります。子どもの難聴の原因では一番多いものです。滲出性中耳炎になりやすい時期は、急性中耳炎になる時期と重なっています。

経過 

  • 急性中耳炎がきっかけで起こることが多いとされています。中耳の粘膜の炎症と耳管の働きの低下があると、粘膜からしみ出た液がたまりやすくなります。
  • カゼの繰り返しなど鼻(副鼻腔炎)や、のど(上咽頭)に炎症があったり、アデノイドが大きい場合などでは、耳管の働きが悪くなり、中耳の粘膜が障害されて、溜まった中耳腔の液を、排出できにくくなります。 
  • カゼをひかなくても、鼻をすする癖が日常的にあると、なりやすくなります。むやみに鼻をすすらないことが、中耳炎の再発と悪化の予防になります。


治療 

  • 軽症から、中等症、難治性まであります。年齢によっても、治り方が違います。難治性の場合は、年単位の治療を要する事もあります。中耳にたまっている滲出液をなくして聞こえをよくするための治療と、耳に悪い影響を与えている鼻やのどの病気に対する治療とを並行して行います。
  • 上気道炎症状などが目立たない場合は3ヶ月以内に良くなることも多いので、特に処置を行わずに鼓膜の状態を観察することもあります。
  • 難治性の場合、鼓膜切開をしても、再度液が溜まり、たびたび滲出性中耳炎をくり返す場合、数ヶ月以上中耳腔の液が溜まり聞こえが悪い場合、鼓膜の変化がある場合等、鼓膜にチューブを入れる手術がよく行われます。同時に、アデノイドの手術をする事もあります。


概要・症状

  • 急性中耳炎はこどもに多い病気です。特に3歳以下の乳幼児に多い傾向があります。多くは‘カゼ‘の経過中、中耳に、咽頭(のど)の細菌やウイルスが入り、急性の炎症を起こします。鼓膜が赤くなったり、膿がたまり、腫れたりします。カゼと前後して起こることが多い疾患です。
  • 耳が痛い、発熱、耳の違和感、耳閉感、耳漏(みみだれ)、難聴などの症状が出ます。乳幼児は、機嫌が悪くなる、ぐずる、耳をさわるなどの行動や態度を示すことがあります。

経過・治癒しにくい環境

  • カゼにかかりやすい環境(集団保育)で、カゼを繰り返すと、中耳炎になりやすく、また中耳炎が反復して、難治化するきっかけになることがあります。一般に、中耳炎は低年齢ほど(0歳~2歳児)、かかりやすく、再発して治りにくい傾向があります。
  • 中耳炎を繰り返しておこすかどうかは、主に子供さんの体質(抵抗力)や生活環境、薬の効きにくい耐性菌などに影響されます。
  • 3歳を過ぎる頃から、免疫力が強くなってくると同時に、耳管の機能も発達してくると、急性中耳炎にかかりにくくなってきます。 


治療 

  • 軽症の場合は抗生物質や消炎剤等で治療します。抗生物質は使用せず、様子をみることもあります。中等症以上で、膿がたまって鼓膜の腫れがひどく、痛みが強いときや、熱が高いときは鼓膜を少しだけ切る事があります。家庭でも鼻汁を吸引するなど鼻の処置も大切です。急性中耳炎を、くり返す場合(反復性中耳炎、難治性中耳炎といいます)には、何回も鼓膜切開が行われることもあります。
  • 反復性・難治性の中耳炎には、鼓膜のチューブ留置という手術が選択枝となることもあります。

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めまいについて

めまいの検査

聴力検査と眼振検査を行います。眼振検査(目の動きを見る検査)は赤外線CCDカメラで録画して患者さんに供覧しています。そのため初診時の検査には少し時間がかかりますので、最終受付時刻の30分以上前の受診をお願いしています。


良性発作性頭位めまい症

概要・原因

  • 内耳にある耳石が三半規管に入ることが原因です。
  • ”回るめまい”では最も頻度が多いとされています。

症状

  • 寝返りや、寝たり起きたり、上を向いたり、振り向いたり、急に頭の位置を変えると、めまいが起こり、数十秒程度でおさまります。
  • 同じような頭の動きかたをすると、めまいが繰り返しおこります。
  • 難聴、耳鳴、耳閉感などを認めることはありません(少ないです)。

検査・診断

  • CCDカメラで目の動きを観察して診断します。難聴の有無を知るために聴力検査をします。この時特徴的な眼振が観察できれば診断が確定できます。(受診時にはないこともあります)

治療 

  • 運動療法が有効なことがあります。対症療法として内服薬(抗めまい薬、循環改善薬、吐き気止めなど)を処方します。
  • 症状は、数日から1ヶ月程度で減弱してなくなる事が多いです。

メニエール病

概要・原因

  • 不明ですが内リンパ水腫の存在があります。
  • 女性に多いとされています。
  • 疲労、睡眠不足、心身のストレスなどが発症の背景として考えられています。

症状

  • 急に10分から数時間程度のめまいがおこります。めまいは不定期に繰り返します。同時期に難聴、耳鳴、耳閉感がおこります。めまいが治まると、耳の症状も治まりますが、繰り返すと難聴が進行することもあります。

検査・診断

  • 聴力検査、めまいの検査(CCDカメラで眼振をみる検査など)、平衡機能検査などをします。
  • 受診時には落ち着いており、難聴もなく、眼振も確認できないこともあります。

治療 

  • 抗めまい薬、利尿剤、ビタミン剤、血行改善剤、漢方薬などの薬物療法を行います。
  • 水分を多めに摂取する。ストレス改善、過労を避ける、睡眠不足の改善なども大事なことです。

前庭神経炎

概要・原因

  • ある日突発的に、激しい、めまいがおこり数日以上続きます。吐き気嘔吐もおこります。
  • ウイルス感染が考えられています。

症状

  • 回転性のめまいが、1日から数日間持続します。
  • 激しいめまいは数日間で治まってきますが、ふらつき感などは数週間持続する事があります。
  • 激しいめまいは最初の1回だけです。難聴は伴いません。

検査・診断

  • 聴力検査、めまいの検査(CCDカメラで眼振をみる検査など)、平衡機能検査などをします。
  • 受診時に、強いめまいがあるときは、眼振が観察されます。

治療 

  • 強いめまいがあるときは安静にします。抗めまい薬、ビタミン剤、血行改善剤などの薬物療法を行います。めまいが激しく飲食できないときは入院を要することもあります。ふらつきが長く続く場合は平衡訓練が有効です。

鼻の病気について

鼻・副鼻腔の病気

鼻汁 鼻閉 くしゃみ

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

膿性鼻汁 鼻閉 痛み 嗅覚低下

においがしない、においを感じにくい

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

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急性鼻炎

概要

  • 急性鼻炎の大部分は風邪のウイルスによって起こります。小児は特にかかりやすい病気です。
  • このウイルス感染に細菌性感染が加わって、鼻水を粘稠にしたり、黄色にしたりします。

症状

  • 鼻の乾燥感、鼻汁、くしゃみ、鼻閉などがおこります。鼻汁は水性から膿性へ変わることもあります。

治療 

  • 対症療法が主となります。(感冒薬など)安静、睡眠を十分に取り、水分をとるなどして自然に良くなる疾患です。
  • 上手に鼻をかめない年齢の子どもさんには、保護者の方が鼻汁を吸引してあげるのが大事です。

薬剤性鼻炎

概要

  • 血管収縮剤配合の市販の点鼻薬の使い過ぎにより起こります。
  • 市販の点鼻薬は、効果はありますが、長期に連用すると、慢性的に粘膜の肥厚がおこり、鼻閉状態が続きます。

症状

  • 鼻閉が主症状です。

治療 

  • 血管収縮剤入りの点鼻薬をなるべく早く中止して離脱することが肝要です。
  • 抗アレルギー剤(鼻閉を改善するタイプ)と点鼻薬(ステロイド点鼻薬が主体で連用可能)に切り替えていきます。


概要・症状

  • 鼻ポリープとは、鼻粘膜や副鼻腔粘膜の一部が成長してでき、鼻茸(はなたけ)とも呼ばれます。
  • 副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎に伴い鼻ポリープは多く認められます。
    鼻ポリープがあると副鼻腔と鼻腔がつながっている部分の通りが悪くなることによって副鼻腔炎の治癒を妨げることもあります。
  • 鼻ポリープができると、鼻づまりや鼻水、嗅覚障害、頭痛などの症状をおこします。

検査

  • 鼻鏡や、内視鏡検査、画像検査を行います。

治療 

  • 鼻茸が小さく、炎症が高度でなければ、薬物療法である程度良くなる可能性もあります。
  • 内視鏡手術を行って、炎症を起こしている粘膜とともに鼻ポリープを取り除きます。

急性副鼻腔炎

概要

  • 風邪などで、ウイルスや細菌が鼻腔に感染して炎症を起こし、それが副鼻腔にまで及ぶことで起こります。

症状

  • 膿性鼻汁や鼻汁が後方に落ちたり、鼻閉、発熱や、頭痛や顔面痛などの症状を伴います。

検査・診断

  • 鼻鏡で鼻腔内を観察して、鼻汁の性状、鼻茸の有無、粘膜のチェックをします。また内視鏡では、後鼻漏や副鼻腔からの出口を観察します。
  • 症状によっては、画像で(CTなど)副鼻腔をチェックします。虫歯が原因の事もあります。

治療 

  • 抗生剤や気道粘液調整・粘膜正常化剤(カルボシステイン)などを使用します。症状が長引いたり、繰り返したりして2~3ヶ月以上続くものを慢性副鼻腔炎と言います。
  • 慢性の副鼻腔炎の場合は、マクロライド系の抗生物質を少量、2~3ヶ月投与する治療法が有効です。

嗅覚障害

概要・原因

  • 鼻の天井部分にはにおいを感じるセンサーである嗅上皮があります。
  • 原因として、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻茸、急性鼻炎、感冒後(カゼのウイルス、新型コロナウイルス)、頭部打撲後、神経性疾患、薬剤性などで起こります。鼻閉によりニオイの分子が届かなかったり、嗅細胞の障害または粘膜の炎症などで起こります。鼻閉による嗅覚障害は鼻閉が改善されればよくなります。また嗅覚は60歳ころから加齢と共に低下します。

経過

  • ウイルスにより嗅神経細胞の障害を起こすと高度の嗅覚障害になります。頭部打撲後の外傷性では嗅神経の障害が起こり難治性です。

検査・診断

  • 鼻鏡や内視鏡検査や、症状により画像検査などを行います。

治療 

  • 原因となる疾患の治療をします。粘膜の炎症や副鼻腔炎による嗅覚障害は、ステロイドの点鼻療法も併用します。
  • かぜによる(コロナを含む)嗅覚障害などで、難治性の場合は漢方薬の当帰芍薬散の内服や、嗅覚刺激療法をおすすめしています。

においがしない 違うにおいがする

口腔・咽頭・喉頭の病気について

口腔・咽頭・喉頭の病気

咽頭痛・発熱・声がれなど

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

声がかすれる、声が出しにくい

声がかすれる、出しにくい

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

いびき・無呼吸・日中の眠気

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱


初期症状

  • 初期は、のどの違和感、イガイガ感、痛み、発熱、頭痛などカゼの症状です。
  • ウイルス性と細菌性の原因があります。のどの痛みの程度は、軽い違和感程度からひどい痛みまであります。

原因・治療

  • ウイルスや細菌などの感染により咽頭、口蓋扁桃、喉頭が炎症を起こします。 ウイルスでは対症療法、細菌感染の場合は抗生剤を使用します。 溶連菌の場合は抗生剤(主にペニシリン系)を一定期間の内服をします。
  • (若年者ではEBウイルスやアデノウイルスが原因の扁桃炎もあります。)

 疾患 

  • 急性咽頭炎:咽頭後壁(うしろの壁)が発赤し、濾胞状の粒や、口蓋扁桃の境目(咽頭側索)が白っぽく見えることがある。
  • 急性扁桃炎:口蓋扁桃の発赤、腫大、口蓋扁桃の白斑(白苔)、頸部のグリグリ等。
  • 急性喉頭炎:ウィルス、細菌、アレルギー、喫煙などで喉頭に炎症を起こします。声のかすれ、ヒリヒリ、イガイガ、乾いた咳など

注意事項

  • 急にのどの痛みが悪化して、水しか飲めない、食事ができない、含み声になる、頸部のリンパが腫れて痛いなどがあれば、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎の可能性もあります。

 概要 

  • 扁桃周囲炎は急性扁桃炎に続いておこり、炎症が口蓋扁桃の外まで拡がった状態の細菌感染です。
  • 扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃の奥にさらに膿が貯まった状態です。

 症状 

  • ノドの片側が強く痛む、痛くて食事が出来ない・水しか飲めない(水も飲めない)・くぐもり声でしゃべりにくい・ 頸部が腫れている・発熱等の症状が出ます。
  • のどの奥下方に炎症が進むと気道の閉塞症状を起こし危険です。  

 所見 

  • 膿瘍になると、扁桃の発赤と腫れに加えて、(大抵片側の)扁桃の外側が膨隆して、口蓋垂の偏位が見られます。

 治療 

  • 扁桃周囲膿瘍になってしまい、高熱や、痛みと腫れで食事をとりづらい時や、点滴や膿瘍の穿刺切開などの処置を要して、入院治療が必要になります。
  • 腫脹が喉頭にまで伸展すると気道閉塞の可能性があるので、即時入院治療が必要となります。


 概要 

  • 声門の上にある蓋のよう構造を喉頭蓋と呼びます。喉頭蓋が細菌感染により炎症を起こした状態を急性喉頭蓋炎と言います。

 症状 

  • 強い咽頭痛、嚥下痛、発熱、などがおこります。喉頭蓋の腫れが進むと気道が狭くなります。嚥下も難しくなり、急速に進むと、気道が閉塞して窒息の危険があります。   

 所見 

  • 口を開けてノドを見ても、咽頭、扁桃は正常範囲か、軽度の炎症程度のことがあります。
  • 喉頭(のどの奥)を間接喉頭鏡か内視鏡で観察して喉頭蓋の腫脹を確認しないと診断は出来ません。

 治療 

  • 軽症以外、急性喉頭蓋炎の場合は、入院治療が必要になります。
  • 息がしにくい場合は至急に入院治療ができる総合病院への受診が必要です。

声帯結節

概要・原因

  • 声の使い過ぎ、無理な発声で、声帯がぶつかり合うことによっておこる慢性炎症です。
  • 声帯結節は左右の声帯中央前方に出来る小さな腫瘤です。
  • 成人では女性に多く見られます。小学校の先生、保育士など声を使う職業に多く、カラオケが趣味の方も注意です。小児では男子に多い傾向にあります。

症状

  • かすれ声になります。長く話していると声が声が出しにくくなったりします。

治療

  • 声の出し過ぎや、誤った声の出し方を正して、声帯に負担の少ない発声に変えていきます。
  • カゼの後や、声を使い過ぎて声が少しでもおかしく感じたら、正しい発声を行い、うがい、マスク、加湿器を使用して結節にならないように予防します。
  • 間節喉頭鏡やファイバースコープで、喉頭・声帯を観察して結節を確認します。

小児の声帯結節

  • 男子児童に多い傾向にあります。日常的に大声を出したり、スポーツ部活動での大声や無理な発声が原因となります。
  • 小児は変声期を過ぎると自然に良くなる事が多い(自然治癒率60%台)ので出来るだけ切除を選択しないで、発声の指導をして経過を観察することになります。
  • 声帯結節以外の病気の事もあるので、声帯の観察は必要です。

子供さんには余りきびしく指導しすぎないことが大切。

大声を出さない。日常的に叫ばない。力んだ声や早口を避ける。高すぎる声や低すぎる声を避ける。

やかましい場所での会話を避ける。ささやき声を避ける。話すときに休みを入れる。

咳払いを避ける。水分摂取する。のどの乾燥に気をつける。部屋の乾燥に気をつける。


声帯ポリープ

概要・原因

  • 声の使い過ぎ、無理な発声、カゼが原因の声帯の炎症などで、声帯の粘膜下出血を来し、声帯粘膜に膨らみが出来ます。色調は赤や白っぽく見えます。通常は右か左か一側の声帯に出来ます。両側のこともあります。
  • 粘膜下出血がある時点で、声を出さずに声帯に負担をかけない事で、ポリープが消失することもあります。

症状

  • 声がかすれる、声が出にくい、のどの違和感、イガイガ感などがあります。

検査・治療

  • 間節喉頭鏡やファイバースコープで、喉頭・声帯を観察してポリープを確認します。
  • 出来て短期間の声帯ポリープは耳鼻科での治療や誤った声の出し方をしないことで消失する事があります。
  • 腫瘍と区別が難しいときや、発症後日数が経過しても改善しない場合には手術でポリープを切除する事が必要になります。
  • 喫煙習慣のある中高年以上の方は1ヶ月以上声の不調が続く時には喉頭がんの可能性もあるので耳鼻科を受診して下さい。

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頸部・顔面の病気について

頸部・顔面の病気

くびのグリグリ 腫れ 痛み

くびのグリグリ 腫れ 痛み

耳の前・下の腫れ 顎下部の腫れ 痛み

  • 頸部には多数のリンパ節があります。
  • 頸部の腫れで最も多いのはリンパ節の腫大・腫脹です。
  • 耳下部の腫れは耳下腺、下顎の下方の腫れは顎下腺の炎症や、腫瘍、唾石などがあります。
  • 頸部の下方の腫れは甲状腺の腫大があります。
  • その他皮膚疾患、嚢胞等があります。

頚部リンパ節の腫脹・腫大

唾液腺の腫脹・腫大

皮膚の疾患(粉瘤など)

嚢胞性疾患

頸部(くび)のリンパ節腫脹

概要・原因

  • 頸部には多数のリンパ節が存在します。数ミリ程度の小さなリンパ節は正常でも触れることがあります。(子どもさんにはしばしば触れます)
  • 7~8割の頸部のリンパ節腫脹は上気道の炎症に伴う、反応性のリンパ節腫脹です。(咽頭炎や扁桃炎や齲歯など)
  • 炎症に伴うリンパ節腫脹は上頚部に多く触れます。

症状・治療

  • くびの一部にぐりぐり、しこりを触れます。炎症性の腫脹では多くは痛みを伴います。
  • 炎症性のリンパ節腫脹は抗生剤の内服や、咽頭などの急性炎症の症状が消失すると2週間程度で軽快してきます。
  • 伝染性単核球症などウイルス疾患に伴う多発性のリンパ節腫脹を認めることがあります。

経過・検査

  • 必要があれば、口腔・上咽頭・咽頭・喉頭を視診やの内視鏡検査で原因となる疾患の有無を調べます。
  • リンパ節の腫瘍(リンパ腫)を疑う場合や転移性のリンパ節腫脹を疑う場合は、 経過観察無くエコー、画像検査を要することがあります。
  • ぐりぐり、しこりが硬い、可動性がない、増大するなど、鎖骨の上に触れる、軽快しない場合は詳しい検査が必要となります。
    検査できる機関に紹介させていただきます。

  • その他の頸部のリンパ節が腫脹する病気

EBウイルス感染症

アデノウイルス感染症

亜急性壊死性リンパ節炎

悪性リンパ腫

転移性のリンパ節腫長

梅毒

結核性

耳下腺 顎下線の腫れ(耳下部 顎下部)

急性耳下腺炎 急性顎下腺炎 耳下腺腫瘍 顎下腺腫瘍 唾石 ガマ腫


概要

  • 耳の下に耳下腺、下顎の下に顎下腺が位置します。
  • 耳下腺の腫れでは左か右の耳の下(前)が腫れ、顎下線の腫れでは左か右の顎下部の腫れがおこります。

唾液腺の炎症

  • 耳下腺、顎下腺にウイルス、細菌が感染すると、腫れて、痛みと発熱が起こります。炎症が強いと皮膚の発赤もおこります。
  • 細菌感染では抗生剤、消炎鎮痛剤で治療します。

唾液腺の腫瘍

  • 耳下腺、顎下腺の一部が少しずつサイズが大きくなる場合は腫瘍の可能性があります。
  • 耳下腺腫瘍の方が顎下腺腫瘍より頻度は高く、耳下腺腫瘍の多くは良性です。
  • 良性と悪性の場合があります。エコーや画像などの検査を要します。
  • 腫瘍の組織型によっては手術が選択となります。良性でも大きくなるので手術が必要になります。

唾石症

  • 顎下線から舌の横を通り舌の下の真ん中まで導管(ワルトン管)が走行しています。カルシウムが主成分の唾石が出来て導管がつまるとで唾液の流れが滞り唾液腺が腫れて痛みを感じます。食事の時に腫れて、しばらくすると腫れがひきます。細菌感染を来すと口腔底から顎下線まで腫れて痛み粘膜や皮膚の発赤を来します。
  • 導管に唾石があるときは口腔からの摘出となります。腺内の石は顎下腺の切除を要することもあります。
  • 唾石の90%は顎下線の導管にみられ耳下腺の唾石まれです。

舌下腺の腫脹

  • ガマ腫-口腔底の粘膜が膨れて頤の下方が柔らかく腫大します。頻度は多くありません
  • 舌下腺が炎症を起こして口腔底が発赤腫脹する事があります。頻度は多くありません。

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