病気の説明

耳の病気について

外耳・中耳・内耳の病気

外耳の病気

子ども、大人の耳垢

耳がかゆい、汁が出る、つまる

耳痛、耳閉感

かゆい、耳閉(感)、耳だれ

つまる、こもる、ふさがる

頸部の下方部

中耳の病気

自分の声がひびく・耳がつまる

つまる、こもる、ふさがる

耳閉感、耳がつまる、こもる

大きな音を聞いた後の難聴・耳閉感

耳かきで突いた、手がぶつかった、難聴、耳閉、出血

難聴、耳漏

内耳の病気

急に聞こえない

耳がつまる、こもる

大きな音を聞いた後の難聴・耳閉感

おたふくかぜウイルス感染後の高度難聴

難聴、耳漏

ライブの後の難聴・耳閉感・耳鳴

雑音の中で聞き取れない、聴力検査は異常なし

強難・発熱

めまいについて

めまいの検査

聴力検査と眼振検査を行います。眼振検査(目の動きを見る検査)は赤外線CCDカメラで録画して患者さんに供覧しています。そのため初診時の検査には少し時間がかかりますので、最終受付時刻の30分以上前の受診をお願いしています。


鼻の病気について

鼻・副鼻腔の病気

血管運動性鼻炎、摂食性、温度刺激

鼻水がのどに降りてくる、鼻の後ろのどにたまる

鼻閉を起こす疾患

鼻汁 鼻閉 くしゃみ

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

膿性鼻汁 鼻閉 痛み 嗅覚低下

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

鼻汁、鼻閉、後鼻漏、頭重感

膿性鼻汁、におい、頬部痛、歯痛、虫歯、歯根治療

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

においがしない、においを感じにくい

鼻づまり、嗅覚障害、鼻汁

口腔・咽頭・喉頭の病気について

口腔・咽頭・喉頭の病気

咽頭痛・発熱・声がれなど

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

強い咽頭痛・嚥下困難・発熱

扁桃炎を繰り返す・発熱・咽頭痛

難聴、耳漏

声がかすれる、声が出しにくい

声がかすれる、出しにくい

声がかすれる・声が出しにくい

眠気の評価が出来ます

いびき・無呼吸・日中の眠気

眠気の評価が出来ます(いびき・無呼吸)

のどのつまり感・違和感・異物感・いがいが

胸焼け・呑酸・のどのヒリヒリ・イガイガ感・違和感

のどのヒリヒリ・イガイガ感・違和感


初期症状

  • 初期は、のどの違和感、イガイガ感、痛み、発熱、頭痛などカゼの症状です。
  • ウイルス性と細菌性の原因があります。のどの痛みの程度は、軽い違和感程度からひどい痛みまであります。

原因・治療

  • ウイルスや細菌などの感染により咽頭、口蓋扁桃、喉頭が炎症を起こします。 ウイルスでは対症療法、細菌感染の場合は抗生剤を使用します。 溶連菌の場合は抗生剤(主にペニシリン系)を一定期間の内服をします。
  • (若年者ではEBウイルスやアデノウイルスが原因の扁桃炎もあります。)

 疾患 

  • 急性咽頭炎:咽頭後壁(うしろの壁)が発赤し、濾胞状の粒や、口蓋扁桃の境目(咽頭側索)が白っぽく見えることがある。
  • 急性扁桃炎:口蓋扁桃の発赤、腫大、口蓋扁桃の白斑(白苔)、頸部のグリグリ等。
  • 急性喉頭炎:ウィルス、細菌、アレルギー、喫煙などで喉頭に炎症を起こします。声のかすれ、ヒリヒリ、イガイガ、乾いた咳など

注意事項

  • 急にのどの痛みが悪化して、水しか飲めない、食事ができない、含み声になる、頸部のリンパが腫れて痛いなどがあれば、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎の可能性もあります。
小児のアデノイド肥大・口蓋扁桃肥大

 概要 

  • 3歳から8歳前後の年齢でアデノイド肥大、口蓋扁桃肥大が最大になります。
  • アデノイド肥大では鼻閉、鼻呼吸障害、中耳炎の難治化、口蓋扁桃肥大ではいびき、睡眠時の無呼吸、摂食嚥下の障害(食べるのが遅いなど)などの症状がおこります。
  • 子どもでは、睡眠時無呼吸症候群で扁桃肥大・アデノイド肥大があれば扁桃摘出術・アデノイド切除術の適応になります。

 検査・診断 

  • 口蓋扁桃は口腔内を視診で直接観察してサイズが把握できます。アデノイドは直視は出来ないので、鼻咽喉内視鏡またはレントゲンで診断できます。

 治療 

  • 肥大があっても、症状がなければ治療の対象になりません。
  • 肥大に伴って、いびき、睡眠時の無呼吸があれば、アデノイド切除、口蓋扁桃摘出術の適応になります。
  • 難治性の中耳炎があれば、アデノイド切除術の適応になります。
習慣性扁桃炎・扁桃病巣疾患

習慣性扁桃炎

  • 年に3~4回以上、2年間 に5~6回 以上 急性扁桃炎を反復することとされています。

 概要 

  • 感染を繰り返している扁桃(慢性扁桃炎)では、体の抵抗力が弱った時や、新たに上気道感染がきっかになり、高熱、咽頭痛を起こす急性炎症が反復します。    

 症状 

  • 急性扁桃炎の症状と同様に、咽頭痛、嚥下痛、発熱、頚部のリンパ節の腫れなどです。

 治療 

  • 抗生剤や解熱剤、消炎剤などで治療します。日常生活を見直して予防に努めても、扁桃炎を繰り返し生活に支障があるなら、口蓋扁桃摘出術が選択となります。
  • 扁桃摘出術の効果 について は良好 な成績 が得 られ るとす る報告がほ とん どです。

扁桃病巣疾患

  • 扁桃が病巣となって、IgA腎症や掌蹠膿胞症など他臓器に二次疾患を生ずるものです。口蓋扁桃摘出術が有効とされています。


 概要 

  • 扁桃周囲炎は急性扁桃炎に続いておこり、炎症が口蓋扁桃の外まで拡がった状態の細菌感染です。
  • 扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃の奥にさらに膿が貯まった状態です。

 症状 

  • ノドの片側が強く痛む、痛くて食事が出来ない・水しか飲めない(水も飲めない)・くぐもり声でしゃべりにくい・ 頸部が腫れている・発熱等の症状が出ます。
  • のどの奥下方に炎症が進むと気道の閉塞症状を起こし危険です。  

 所見 

  • 膿瘍になると、扁桃の発赤と腫れに加えて、(大抵片側の)扁桃の外側が膨隆して、口蓋垂の偏位が見られます。

 治療 

  • 扁桃周囲膿瘍になってしまい、高熱や、痛みと腫れで食事をとりづらい時や、点滴や膿瘍の穿刺切開などの処置を要して、入院治療が必要になります。
  • 腫脹が喉頭にまで伸展すると気道閉塞の可能性があるので、即時入院治療が必要となります。


 概要 

  • 声門の上にある蓋のよう構造を喉頭蓋と呼びます。喉頭蓋が細菌感染により炎症を起こした状態を急性喉頭蓋炎と言います。

 症状 

  • 強い咽頭痛、嚥下痛、発熱、などがおこります。喉頭蓋の腫れが進むと気道が狭くなります。嚥下も難しくなり、急速に進むと、気道が閉塞して窒息の危険があります。   

 所見 

  • 口を開けてノドを見ても、咽頭、扁桃は正常範囲か、軽度の炎症程度のことがあります。
  • 喉頭(のどの奥)を間接喉頭鏡か内視鏡で観察して喉頭蓋の腫脹を確認しないと診断は出来ません。

 治療 

  • 軽症以外、急性喉頭蓋炎の場合は、入院治療が必要になります。
  • 息がしにくい場合は至急に入院治療ができる総合病院への受診が必要です。

声帯結節

概要・原因

  • 声の使い過ぎ、無理な発声で、声帯がぶつかり合うことによっておこる慢性炎症です。
  • 声帯結節は左右の声帯中央前方に出来る小さな隆起性病変です。
  • 成人では女性に多く見られます。小学校の先生、保育士など声を使う職業に多く、カラオケが趣味の方も注意です。小児では男児に多い傾向にあります。

症状

  • かすれ声になります。長く話していると声が出しにくくなったりします。

治療

  • 声の出し過ぎや、誤った声の出し方を正して、声帯に負担の少ない発声に変えていきます。
  • カゼの後や、声を使い過ぎて声が少しでもおかしく感じたら、正しい発声を行い、うがい、マスク、加湿器を使用して結節にならないように予防します。
  • 間接喉頭鏡やファイバースコープで、喉頭・声帯を観察して結節を確認します。
  • 嗄声が高度で、改善しないときは顕微鏡下喉頭微細手術を行います。

小児の声帯結節

  • 男子児童に多い傾向にあります。日常的に大声を出したり、スポーツ部活動での大声や無理な発声が原因となります。就学前後のの5~7歳に多く見られます。
  • 男児は変声期を過ぎると自然に良くなる事が多い(自然治癒率60%台)ので出来るだけ切除を選択しないで、発声の指導をして経過を観察することになります。男児は10歳前後から自然に治癒することが多くなります。
  • 声帯結節以外の病気の事もあるので(小児乳頭腫など)、声帯の観察は必要です。

子供さんには余りきびしく指導しすぎずに(子どもが意識しすぎないように)見守る。


・大声を出さない。日常的に叫ばない。力んだ声や早口を避ける。高すぎる声や低すぎる声を避ける。

・やかましい場所での会話を避ける。ささやき声を避ける。話すときに休みを入れる。近寄って会話する。

・咳払いを避ける。水分摂取する。のどの乾燥に気をつける。部屋の乾燥に気をつける。


声帯ポリープ

概要・原因

  • 声の使い過ぎ、無理な発声、カゼが原因の声帯の炎症などで、声帯の粘膜下出血を来し、声帯粘膜に膨らみが出来ます。色調は赤や白っぽく見えます。通常は右か左か一側の声帯に出来ます。両側のこともあります。
  • 粘膜下出血がある時点で、声を出さずに声帯に負担をかけない事で、ポリープが消失することもあります。

症状

  • 声がかすれる、声が出にくい、のどの違和感、イガイガ感などがあります。

検査・治療

  • 間接喉頭鏡やファイバースコープで、喉頭・声帯を観察してポリープを確認します。
  • 出来て短期間の声帯ポリープは耳鼻科での治療や誤った声の出し方をしないことで消失する事があります。
  • 腫瘍と区別が難しいときや、発症後日数が経過しても改善しない場合には手術でポリープを切除する事が必要になります。(顕微鏡下喉頭微細手術)
  • 喫煙習慣のある中高年以上の方でキッカケ無く、1ヶ月以上声の不調が続く時には喉頭腫瘍の可能性もあるので耳鼻科を受診して下さい。
いびき

 概要 

  • いびきは、睡眠中の異常な呼吸音です。鼻腔、咽頭、喉頭のどこかが睡眠時に狭くなり呼吸時の気流が通過するときの音です。

 原因 

  • 鼻閉が原因

アレルギー性鼻炎

副鼻腔炎・鼻茸

肥厚性鼻炎

鼻中隔彎曲症

外耳道の狭窄

  • 咽頭の狭窄が原因

アデノイド肥大

口蓋扁桃肥大

舌扁桃肥大

軟口蓋の形態

  • 喉頭・喉頭蓋が原因

喉頭蓋嚢胞

5

  • その他

肥満

顎が小さい

首が短い太い

 検査 

  • 鼻鏡、喉頭鏡、内視鏡で鼻腔、咽頭、喉頭を観察します。

 治療 

  • 原因疾患に対応する治療を行います。顎が小さく下顎が睡眠時に後方に移動するなど舌根が落ちないようにマウスピースの装着も有効なことがあります。

睡眠時無呼吸症候群

無呼吸が疑われるとき

  • 家族にいびきや、睡眠中息が止まると指摘される。
  • 夜中によく目がさめる。
  • 朝起きて熟睡感がない
  • 朝起きたとき口、ノドが渇く
  • 朝起きたとき頭痛がある
  • 昼間に眠気がある。うとうとする。 
  • 日中の眠気スコアで11点以上だった方。 



検査

  • 当院では簡易検査をしております。検査機器を貸し出し自宅で睡眠時に呼吸状態の検査をして頂きます
  • 簡易検査で無呼吸低呼吸指数が20回以下なら経過観察、20~40回なら1日入院する精密検査を、40回以上ならCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が適応となります。
  • 当院の簡易検査で無呼吸症候群の判断が難しい検査結果の場合は、一泊入院の精密検査が可能な医療機関をご紹介しております。


小児のいびき・無呼吸

  • 就学前後はいびき、睡眠時無呼吸が起こりやすい時期です。3歳から8歳前後の年齢でアデノイド肥大、口蓋扁桃肥大が最大になります。冬期は目立ち、カゼ症状が少なくなる季節の夏以降は軽快するなどの季節変動が報告されています。その他、肥満や顎が小さいなどの原因もあります。
  • 抗ロイコトリエン剤、ステロイド点鼻薬によりいびきは改善されることがあります。
  • 睡眠時無呼吸が高度で、アデノイド肥大、扁桃肥大が基準以上なら、アデノイド切除、口蓋扁桃摘出術が選択となります。

日中の眠気スコア

日中の眠気を評価できます。8項目の眠気の項目を数字で答えて点数を合計してください。(眠くなる=うとうとする)

日中の眠気チェック項目点数
1座って何かを読んでいるとき0,1,2,3
2座ってテレビを見ているとき0,1,2,3
3会議、映画館、劇場などで静かに座っているとき0,1,2,3
4乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき0,1,2,3
5午後に横になって、休息をとっているとき0,1,2,3
6座って人と話をしているとき0,1,2,3
7昼食をとった後(飲酒なし)、静かに座っているとき0,1,2,3
8自分で車を運転中に、渋滞や信号で数分間、止まっているとき0,1,2,3
合計点

8項目の合計点が11点以上の方は無呼吸症候群が疑われます。早めの検査をお薦めします。

合計点数検査
16点以上すみやかに検査
11点から15点早い時期に検査
6点~10点要注意
5点以下問題なし
咽喉頭(のど)の異常感(つまり)

 概要 

  • のどのつまり感、違和感、イガイガ感、何かある感じなどの症状です。
  • のどの異常感が続き、検査しても原因が無い場合は、咽喉頭異常感症と言います。
  • 一度の検査や診察で原因が確定できない場合も多くあります。再度の検査が望ましい場合や、精査できる病院へ紹介させていただくこともあります。

のどの異常感をきたす疾患

  • 原因

喉頭疾患

咽頭疾患

舌・舌根扁桃

喉頭アレルギー

嚥下機能低下

胃食道逆流症

咽喉頭逆流症

アレルギー性鼻炎

慢性副鼻腔炎

後鼻漏

唾液腺疾患

甲状腺疾患

頸椎形態異常

頸部リンパ節

食道疾患

心因性その他種々

 検査 

  • 鼻鏡、間接喉頭鏡、咽喉頭内視鏡で鼻腔、上咽頭、中下咽頭、喉頭を観察します。
  • 頸部リンパ節や甲状腺、唾液腺の疾患を疑えば超音波検査、CTなど画像検査(当院では不可)。
  • 食道疾患が疑わしければ上部消化管内視鏡検査も必要なこともあります。耳鼻科以外での検査も要することもあります。
  • 甲状腺の疾患が疑われる場合は専門医に紹介させていただきます。

 治療 

  • 原因疾患がわかれば、治療を行います。例)「胃食道逆流症ならプロトンポンプ阻害薬を4週間ほど内服する」「アレルギー性鼻炎なら抗アレルギー剤、慢性副鼻腔にはマクロライド投与,手術療法など」。

咽喉頭異常感症

  • 定義として「咽頭や喉頭の異常感が続くにもかかわらず通常の耳鼻咽喉科的な視診で異常な所見を咽頭喉頭に認めないもの」とされています。
  • 頸部の広い範囲の異常感がある、日により場所が変わることがある、からつばの嚥下で強く、食べ物の嚥下の時はむしろ改善する。
  • 異常感が続く場合は咽頭や喉頭の初期の腫瘍や軽微な疾患を見落とさないように定期観察をおすすめします。更なる精査(当院では出来ない検査や上部消化管内視鏡検査)が必要な場合は基幹病院を紹介させて頂くことがあります。
  • 器質的な疾患がなければ、半夏厚朴湯や柴苓湯などの漢方で軽快することもあります。

咽喉頭の腫瘍を疑うときは

再度の検査を要します。経過観察を要します。


  • 症状はなかったが、1~2ヶ月前から、のどのつまり感が続いている。
  • 最初は異物感、つまり感だけであったが、最近は同じ所の痛みや、飲み込むと片方の耳が痛くなる事がある。消炎剤などでも改善せずに続く。数週間経過しても改善しない。食べ物が飲み込みにくくなった。たくさんの飲酒や喫煙習慣がある。
  • 初期の病変があっても確認できなければ初診時は異常なし診断されることがあります。時間が経過して再診時に診断できることもあります。下咽頭から食道入り口・頸部食道は咽喉頭内視鏡では観察が難しい場所です。

胃内容の逆流によりおこる咽喉頭の症状

胃食道逆流症 GERD

食道症状+咽喉頭の症状

咽喉頭逆流症 LPRD

咽喉頭の症状(食道症状なし)


概要

  • 胃食道逆流症では胸焼け、呑酸、胃痛、胃のもたれ、胸痛、慢性の咳、食後に悪化する咳、喘息などの症状がみられることがあります。胃や食道の症状以外の咽喉頭異常感や嗄声など咽喉頭の症状がある方は耳鼻科に受診されてきます。
  • 咽喉頭逆流症とは胃食道逆流症の中でも耳鼻咽喉科領域の症状を呈するものを言い次のような症状を起こします。

咽喉頭など耳鼻咽喉科領域の症状

  • のどのつまり感、違和感、むずむず・イガイガ感、何かある感じなどの咽喉頭異常感などの症状です。
  • 嗄声、咳払い、呼吸困難感、口の中がすっぱい・苦い、慢性咳嗽、耳痛等々あります。

検査・診断

  • 自覚症状をまとめた質問票の回答と喉頭内視鏡検査の所見を元に診断します。
  • 咽喉頭の内視鏡で喉頭の発赤腫脹、肥厚、喉頭の肉芽腫を認めるとGERDやLPRDが疑われます。
  • 喉頭の内視鏡で胃内容液の逆流所見が無い場合もあり視診では診断が難しいことはあります。
  • 胸焼け、胸のヒリヒリ感、ゲップなど食道や胃の症状があれば、消化器科において上部消化管内視鏡検査が必要です。食道粘膜の異常があれば逆流性食道炎の診断となります。



治療

  • 胃内容逆流が原因ならば胃酸分泌を抑える薬を内服して改善を期待できます。
  • 診断的治療として胃酸分泌抑制薬の内服を行い判定する事もあります。
  • 生活習慣、食習慣の見直しを計ります。

頸部・顔面の病気について

頸部・顔面の病気

頸部の病気

くびのグリグリ 腫れ 痛み

くびのグリグリ 腫れ 痛み

ガマ腫、正中頚嚢胞

耳の前・下の腫れ 顎下部の腫れ 痛み

唾液腺腫脹・発熱。痛み

顎の下の腫れ・痛み・舌下の腫れ・食事での腫れ・痛み

耳下部の腫れ・顎下部の腫れ・大きくなる

眠気の評価が出来ます

顔面の病気

顔がまがる、目が閉じない、水がこぼれる、聞こえにくい

くびのグリグリ 腫れ 痛み

耳の前・下の腫れ 顎下部の腫れ 痛み

  • 頸部には多数のリンパ節があります。
  • 頸部の腫れで最も多いのはリンパ節の腫大・腫脹です。
  • 耳下部の腫れは耳下腺、下顎の下方の腫れは顎下腺の炎症や、腫瘍、唾石などがあります。
  • 頸部の下方の腫れは甲状腺の腫大があります。
  • その他皮膚疾患、嚢胞等があります。

頚部リンパ節の腫脹・腫大

唾液腺の腫脹・腫大

皮膚の疾患(粉瘤など)

嚢胞性疾患

頸部(くび)のリンパ節腫脹

概要・原因

  • 頸部には多数のリンパ節が存在します。数ミリ程度の小さなリンパ節は正常でも触れることがあります。(子どもさんにはしばしば触れます)
  • 7~8割の頸部のリンパ節腫脹は上気道の炎症に伴う、反応性のリンパ節腫脹です。(咽頭炎や扁桃炎や齲歯など)
  • 炎症に伴うリンパ節腫脹は上頚部に多く触れます。

症状・治療

  • くびの一部にぐりぐり、しこりを触れます。炎症性の腫脹では多くは痛みを伴います。
  • 炎症性のリンパ節腫脹は抗生剤の内服や、咽頭などの急性炎症の症状が消失すると2週間程度で軽快してきます。
  • 伝染性単核球症などウイルス疾患に伴う多発性のリンパ節腫脹を認めることがあります。

経過・検査

  • 必要があれば、口腔・上咽頭・咽頭・喉頭を視診やの内視鏡検査で原因となる疾患の有無を調べます。
  • リンパ節の腫瘍(リンパ腫)を疑う場合や転移性のリンパ節腫脹を疑う場合は、 経過観察無くエコー、画像検査を要することがあります。
  • ぐりぐり、しこりが硬い、可動性がない、増大するなど、鎖骨の上に触れる、軽快しない場合は詳しい検査が必要となります。
    検査できる機関に紹介させていただきます。

  • その他の頸部のリンパ節が腫脹する病気

EBウイルス感染症

アデノウイルス感染症

亜急性壊死性リンパ節炎

悪性リンパ腫

転移性のリンパ節腫長

梅毒

結核性

顎下部・オトガイ下部の腫脹

腫脹を起こす疾患

  • 頸部リンパ節の腫脹、顎下腺唾石など
  • 顎下型ガマ腫、正中頚嚢胞、その他の腫瘍

顎下型ガマ腫

  • ガマ腫は舌下腺の粘液貯留嚢胞です。舌の下の口腔底に青みがかった腫瘤があり気がつきます。
  • 頸部の腫脹では、顎下部・オトガイ下部の頸部の柔らかい腫瘤として認められます。痛みはありません。
  • 治療は舌下腺摘出術、開窓術、嚢胞摘出術、OK-432注入等があります。

正中頚嚢胞

  • 先天性の嚢胞性疾患です。頸部の正中部に症状なく腫瘤が認められます。感染すると発赤、疼痛がおこります。超音波、CT検査などで診断します。感染で腫脹した場合抗生剤で治まることがあります。手術が選択されることが多いです。

唾液腺炎(耳下腺炎 顎下腺炎 舌下腺炎)

概要

  • 耳下腺の腫れでは左か右の耳の下(前)が腫れます。
  • 顎下腺の腫れでは左か右の顎下部の腫れます。
  • 舌下腺の腫れでは舌の前横の口腔底が腫れます。

化膿性耳下腺炎

化膿性顎下腺炎

概要・原因

  • 唾液腺管からのほとんどが逆行性の感染が原因になります。(他に血行性)唾液の分泌低下、唾液腺管の狭窄、唾石、口腔内の不衛生なども原因となります。基礎疾患(糖尿病や免疫低下)があると膿瘍形成をおこすことがあります。顎下腺よりも耳下腺に多く見られます。
  • 口内の唾液腺管(ステノン管)の開口部から膿汁の排泄が確認できます。

  • 耳下腺の腫れ、痛みと発熱が起こります。炎症が強いと皮膚の発赤もおこります。
  • 血液検査でアミラーゼ高値になります。腫脹が高度の場合や炎症が反復する場合は画像診断を行い精査します。
  • 細菌感染では抗生剤、消炎鎮痛剤で治療します。膿瘍形成があれば手術治療が必要になることがあります。

流行性耳下腺炎

概要

  • ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎(ムンプス)です。
  • 唾液、鼻汁、咳などによるムンプスウイルスの飛沫感染です。ウイルス血症を経て全身の臓器(膵臓、卵巣、精巣、内耳、神経など)に感染します。
  • 就学前の感染がほとんどですが、成人での発症もたまにあります。
  • 他にも唾液腺炎を起こすウイルスは、コクサッキーウイルス、EBウイルス、サトメガロウイルスなどがあります。

  • 潜伏期間2、3週間で、発熱、頭痛、倦怠感などが生じて耳下腺・顎下腺等が両側、又は片側(全体の約1/4は片側)が腫れ痛みを伴います。(唾液腺の腫脹がない例もあります)
  • 血液検査で多くはアミラーゼが高値になります。初感染ならムンプスIgM値が上昇します。
  • 経過観察と解熱鎮痛剤などの対症療法になります。

ムンプス難聴

  • おたふくかぜウイルス感染後に、1000人に1人程度(発症率はもっと高いとの報告もあります)が一側性の高度難聴を発症します。治療を行っても難聴は改善しないことがほとんどです。
  • ムンプス後に不幸にも両側高度難聴になると、コミュニケーションがとれなくなります。(治療として:補聴器、人工内耳など)
  • ワクチンだけがムンプス難聴を予防できます。

反復性耳下腺炎

概要・経過・治療

  • 一側または両側の耳下腺の腫脹を年に数回繰り返します。小児に多く認められます。
  • 反復する病因は未だ明らかではありませんが、口腔内のからの逆行性の反復感染と考えられます。就学までに発症して、思春期以降はほとんど症状はなくなります。
  • 腫脹、疼痛、時に発熱があります。耳下腺を圧迫すると唾液腺管(ステノン管)開口部からの排膿を認めることがあります。耳下腺の腫れは数日で消えることが多いです。
  • 治療は抗生剤、解熱鎮痛剤などの対症療法です。口腔内を清潔に保つようにします。

舌下腺の腫脹

ガマ腫

  • 口腔底の粘膜に青みがかった腫れがみられます。ふくれてが顎下部や頤の下方が柔らかく腫大することがあります。頻度は多くありません。MRIで嚢胞状の病変として診断できます。
  • 舌下腺が炎症を起こして口腔底が発赤腫脹する事があります。頻度は多くありません。

唾石症

唾石の90%は顎下腺の導管にみられ耳下腺・舌下腺の唾石はまれです。


唾石症

概要・症状

  • 顎下腺から舌の横を通り舌の下の真ん中まで導管(ワルトン管)が走行しています。カルシウムが主成分の唾石が出来て導管がつまることで唾液の流れが滞り唾液腺が腫れて痛みを感じます。
    食事の時に腫れて、しばらくすると腫れがひきます。
    細菌感染を来すと口腔底から顎下腺まで腫れて痛み粘膜や皮膚の発赤を来します。開口部から膿の流出があります。

検査・治療

  • 舌の横から前に石があると視診・触診でわかります。顎下腺内唾石の場合はCT検査を行います。細菌感染がある場合は抗生剤で治療します。
  • 食事の時の腫脹や、感染を繰り返す場合は手術治療が適します。顎下腺の導管に唾石があるときは口腔からの摘出となります。腺内の石は顎下腺の切除を要することもあります。

耳下腺 顎下腺の腫瘍

耳下腺腫瘍 顎下腺腫瘍


概要

  • 耳の下に耳下腺、下顎の下に顎下腺が位置します。
  • 耳下腺腫瘍では左か右の耳の下(前)が腫れ、顎下腺腫瘍では左か右の顎下部の腫れがおこります。
  • 耳下腺腫瘍の方が顎下腺腫瘍より頻度は高く、耳下腺腫瘍の多くは良性です。
  • 耳下腺、顎下腺の一部が少しずつサイズが大きくなる場合は腫瘍の可能性があります。

耳下腺の腫瘍

  • 耳下腺腫瘍の多くは良性です。(10対1)ワルチン腫瘍と多型腺腫が85%を占めます。
  • 多型腺腫はやや女性に多く、ワルチン腫瘍は高齢男性に多くみられます。
  • 腫瘤の痛みがある、触って動かない、顔面神経麻痺があれば悪性の可能性もあり注意が必要です。

顎下腺の腫瘍

  • 多型腺腫が最も多くみられます。
  • 耳下腺腫瘍よりも悪性の腫瘍の割合が多く認められます。。

検査・治療

  • 良性と悪性を鑑別する必要があります。
  • エコーや画像(MRIなど)などの検査を要します。(出来る施設への紹介となります)
  • 腫瘍の組織型によっては手術が選択となります。良性でも大きくなるので手術が必要になります。
  • 確定診断がついていればワルチン腫瘍は経過観察もあります。


 概要 

  • 顔面神経麻痺の発症率は年間50人/10万人と言われています。
  • 最も多いのはベル麻痺で、単純疱疹ウイルス1型が原因です。次はハント症候群で、水痘帯状疱疹ウイルスが原因です。その他、頭部・顔面の外傷や、中耳炎等、希に耳下腺腫瘍で起こることもあります。
  • 早期治療でベル麻痺は90%、ハント症候群は70%が良くなります。(適切な治療を受けない場合は、ベル麻痺は70%程度の治癒率、ハント症候群は20~30%程度の治癒率との報告があります。)

 症状 

  • 水が口の端からこぼれる、閉眼できない、ほっぺを脹らますと空気がもれる、笑うと顔が左右非対称などが起こります。
  • めまいや、耳痛、聞こえにくい、味がおかしいなどの症状を伴うこともあります。 耳に皮疹や口内に粘膜疹が出来ることがあります。  

 検査 

  • 難聴やめまいを伴うばあいは、聴力検査や平行機能検査を行います。
  • 顔の筋肉の動きの程度を観察して点数化します(柳原法)。筋電図検査(ENoG)(当院では出来ません)で神経の障害の程度を評価できます。(10日~14日の検査値が信頼できる)良くなるのか良くなりにくいのかを判断できます。(ENoG値の目安)40%以上:1~3ヶ月で完治 10%~40%:回復は4ヶ月軽度の後遺症が残る。 10%以下:回復は不完全、後遺症が残る。

 治療 

  • ステロイド剤、抗ウイルス剤で治療します。 麻痺の程度で軽症 中等症 重症に分類してそれぞれ内服か、点滴か、適切な薬の量を決めます。重症例では入院治療も選択枝となります。
  • 内服や点滴でも治りにくい重症例には、筋電図検査などを経て顔面神経減荷術が選択されることがあります。(発症1~2ヶ月以内)

 リハビリ 

  • 後遺症としては、麻痺が残る、顔が非対称にこわばる、意図しない場所が動く、筋肉の痙攣、食事の時の流涙があります。
  • 後遺症の予防としてリハビリが薦められます。麻痺スコア10点以下(重症)、筋電図検査が40%未満、1ヶ月経過して麻痺スコア20点以下の場合では特にリハビリの適応になります。早い時期から開始して後遺症が強い場合は1年間程度の継続が望まれます。急性期(~3ヶ月まで)、回復期(3ヶ月~1年)、1年以降のリハビリに分けられます。